Googleフォームの自由記述をAIで集計する方法
Googleフォームの自由記述は関数では集計できません。理由を説明したうえで、スプレッドシートの回答をAIに渡して分類・件数集計まで終わらせる手順を、コピペできるプロンプトと、会社でAIが使えない場合の選択肢まで解説します。
社内アンケートの集計、選択式のグラフはすぐ出るのに、自由記述だけ100件を上から読んでいる——毎回そうなっていませんか。
僕も同じでした。選択式は円グラフが勝手に出てくるのに、自由記述の欄だけは結局、目で読んで、似たものをまとめて、数を数える。ここだけ手作業のまま取り残されます。
この記事では、その自由記述をAIに渡して確認まで含めて10分で終わらせる方法を書きます。使うのは無料のChatGPTだけ。ソフトのインストールも、アカウントの追加登録も要りません。
ひとつ先にお伝えしておきます。勤務先で生成AIの利用が制限されている場合があります。 手順に入る前に、まずそこを確認してください。使えない場合にどうするかも、最後に書いています。
この記事でわかること
- 自由記述が関数では集計できない理由(ここが分かると納得して手を離せます)
- スプレッドシートの回答をAIに渡す手順と、コピペで使えるプロンプト3本
- AIが出した分類が合っているかどうかの確かめ方
- AIに貼る前に、消しておくべきもの
- 会社で生成AIが使えない場合の選択肢
結論:自由記述は「関数」ではなく「AI」に渡す
先に結論です。
選択式の集計はCOUNTIFやピボットテーブルで一瞬で終わります。でも自由記述は、同じことを言っていても書いた人によって言葉が違うので、関数では数えられません。
「机が狭い」「デスクが手狭」「作業スペースが足りない」——この3つは全部同じ話ですが、関数から見ればまったくの別物です。
必要なのは「文字が同じか」の判定ではなく、「意味が同じか」の判定です。そしてそこはAIの担当です。
やることは3ステップだけ。スプレッドシートから自由記述の列をコピーして、プロンプトと一緒にAIに貼って、出てきた分類を戻す。 これで終わります。
なぜ自由記述は関数で集計できないのか
選択式:COUNTIFで一瞬で終わる
「満足・やや満足・普通・やや不満・不満」のような選択式なら、答えの種類が最初から決まっています。
だから =COUNTIF(B:B,"満足") で数えられますし、ピボットテーブルなら数式すら要りません。Googleフォームの回答画面にも、最初から円グラフが表示されます。
自由記述:同じ意味でも文字が違うから数えられない
問題は自由記述です。実際の回答を見てください。
| No. | 回答 |
|---|---|
| 2 | 机が狭くて、資料を広げると作業できません。 |
| 5 | デスクが手狭なので、モニターを置くと書類のスペースがなくなります。 |
| 10 | 作業スペースが足りないので、書類を床に置いてしまっています。 |
| 20 | デスクを広げると、隣の人の書類と重なってしまいます。 |
読めば全部「机が狭い」という同じ話です。でも =COUNTIF(A:A,"*机が狭い*") で数えると、1件しかヒットしません。
IF関数を重ねて条件を足していく手もありますが、うまくいきません。「机」「デスク」「作業スペース」「作業台」……書き方の数だけ条件が要るからです。しかも次のアンケートでは、また別の言い方が出てきます。終わりがありません。
これは関数の使い方が悪いのではなく、関数にできる仕事ではないというだけの話です。関数は文字が一致しているかを見ているだけで、文章の意味は読んでいません。
選択式の集計方法を先に知りたい方は、SUMIF・COUNTIF関数の基本とピボットテーブルの作り方で解説しています。
手順:Googleフォームの回答をAIに集計してもらう
STEP1 スプレッドシートから自由記述の列だけをコピーする
Googleフォームの回答は、最初からスプレッドシートに入っています(フォームの編集画面 →「回答」→ 右上のスプレッドシートのアイコン)。Excelに転記する必要はありません。
ここで大事なのは、自由記述の列だけを選んでコピーすることです。氏名やメールアドレスの列は含めません。理由は後の章で書きます。
STEP2 プロンプトを貼る
無料のChatGPTを開いて、次の文をそのまま貼り、最後にコピーした回答を続けて貼ります。
プロンプト①:まず全体像をつかむ
以下は社内アンケートの自由記述の回答です。
全体として何が言われているかを、3行で要約してください。
【回答】
(ここに貼る)
プロンプト②:カテゴリに分けて件数を出す
以下は社内アンケートの自由記述の回答です。
内容が近いものをカテゴリに分類し、カテゴリ名と件数の表を作ってください。
条件:
- カテゴリは5〜10個程度にまとめてください
- 1件の回答に複数の内容が含まれる場合は、両方のカテゴリに数えてください
- どこにも当てはまらないものは「その他」にしてください
【回答】
(ここに貼る)
プロンプト③:報告資料に使える形にする
先ほどの分類について、件数が多い順に並べ替えてください。
各カテゴリに、代表的な回答を原文のまま1件ずつ添えてください。
③はプロンプト②の続きとして送ります。原文を添えてもらうと、報告資料にそのまま貼れる形になります。
STEP3 出てきた表をスプレッドシートに戻す
AIが出した表をコピーして、スプレッドシートの新しいシートに貼ります。これで報告資料の骨格ができました。
AIに貼る前に、消しておくもの
ここは飛ばさないでください。会社のデータを外部のサービスに渡す話なので、先に確認しておくことがあります。
- 氏名・部署・メールアドレスの列は貼らない。 STEP1で「自由記述の列だけ」をコピーしていれば、基本的に入りません
- 回答の文中に個人名が出ている場合は伏せる。 「〇〇さんが」のような書き方は、貼る前に消すか置き換えます
- 会社のルールを先に確認する。 生成AIの業務利用を制限している会社もあります。情報システム部門の規定を一度見ておくと安心です
- 入力内容が学習に使われる設定をオフにする。 ChatGPTは設定画面から、入力した内容を学習に使わないように変更できます。ちなみにログインせずに使った場合、画面下部に「チャット内容は確認され、AIモデルの改善に使用される場合があります」と明記されています(2026年9月時点)。会社のデータを扱うなら、ログインして設定を確認してから使うほうが安全です
「AIに貼るだけで終わります」と書いてある記事は多いのですが、実務で使うなら貼っていいデータかどうかの確認が先です。ここを飛ばすと、時短どころの話ではなくなります。
AIの分類、合っているかどうかの確かめ方
ここがこの記事でいちばん大事な章です。
僕は上のプロンプトを、実際に無料のChatGPTで30件の回答に対して流してみました。結果、カテゴリ分けの精度はかなり高かったです。「机が狭い」「デスクが手狭」「作業スペースが足りない」といったバラバラの書き方は、きちんと1つのカテゴリにまとまっていました。
でも、回答が1件、消えていました。
実際に起きたこと:合計は合っているのに、1件消えた
出てきた表がこれです。
| カテゴリ | 件数 |
|---|---|
| 机・作業スペース | 7 |
| 空調・温度環境 | 5 |
| 椅子・座り心地 | 4 |
| 会議室・会議設備 | 4 |
| 備品・消耗品・共用設備 | 4 |
| ネットワーク・Wi-Fi | 3 |
| 照明 | 3 |
| 清掃・運用・管理 | 2 |
| その他 | 1 |
| 合計(延べ) | 33 |
一見、問題なさそうに見えます。回答は30件で、1件に2つの内容が入っているものが複数あるので、延べ33件というのは自然な数字です。
ところが、各カテゴリに入った回答の番号をすべて書き出して突き合わせたところ、「休憩スペースが狭く、昼休みに座れないことがあります」という回答が、どのカテゴリにも入っていませんでした。
30件のうち、処理されたのは29件。1件が黙って消えていたわけです。
しかも困ったことに、合計の33という数字は内部的には辻褄が合っています。 重複カウントされた回答が4件あるので、29+4で33。合計だけを見ていたら、絶対に気づけません。
だから、確認するのは「合計」ではなく「取りこぼし」
この経験から、確認手順はこうしてください。
1. 番号を振ってから貼る
貼る前に、回答に1、2、3……と通し番号を振っておきます。スプレッドシートなら行番号がそのまま使えます。
2. カテゴリごとに「該当した番号」を出させる
プロンプト②のあとに、こう続けます。
各カテゴリに、該当する回答の番号を書き出してください。
最後に、どのカテゴリにも入らなかった番号があれば教えてください。
3. 全部の番号が1回は出ているかを見る
1から30まで、どこかに必ず出てくるはずです。抜けている番号があれば、それが取りこぼしです。見つけたら「〇番が抜けています。どのカテゴリに入りますか」と聞けば、その場で直してくれます。
4. 「その他」に入った回答は必ず読む
AIが判断できなかったものが入る場所です。ここだけは自分の目で読んでください。
5. 代表的な回答を原文で確認する
プロンプト③で原文を添えてもらっているので、その回答が本当にそのカテゴリの話かを見ます。1カテゴリにつき1件で十分です。
この確認まで含めても10分ほどで終わります。分類はAIに任せて、取りこぼしのチェックは人がやる。 この形がいちばん安全で速いです。
Before / After
| 手作業 | AIに任せた場合 | |
|---|---|---|
| 30件の自由記述を分類する | 読んで、まとめて、数える | プロンプトを貼って十数秒 |
| 分類をやり直す | もう一度全部読む | プロンプトを1行変えるだけ |
| 取りこぼしの確認 | ー | 番号の突き合わせが必要 |
いちばん差が出るのは、実はやり直しのときです。「もっと細かく分けて」と言われたとき、手作業なら最初から読み直しですが、AIならプロンプトを1行足すだけで終わります。
そのかわり、取りこぼしの確認という新しい仕事が1つ増えます。 それでも手作業で全部読むよりは、はるかに速いです。
会社で生成AIが使えない場合
ここまで読んで「うちの会社、そもそもChatGPTにアクセスできない」という方もいると思います。実際、生成AIの業務利用を禁止している会社や、許可制にしている会社は珍しくありません。
その場合、順番にこう考えてください。
1. 会社が契約しているAIがないか確認する
禁止されているのは「個人で勝手に使うこと」で、会社として導入済みのAIがあるケースがあります。Microsoft 365を使っている会社ならCopilotが、Google Workspaceの会社ならGeminiが、すでに契約に含まれていることがあります。
情報システムの担当者に「アンケートの集計に使えるAIは入っていますか」と聞くのが早いです。この記事の手順は、プロンプトを貼るだけなのでどのAIでもほぼ同じように動きます。
2. 使えない場合、個人のアカウントで会社のデータを扱わない
これがいちばん大事です。「会社で使えないから、自分のスマホで」「家のパソコンで」はやらないでください。
会社のデータを許可なく外部サービスに送ることになりますし、そもそも社外に持ち出している時点で問題になります。時短のつもりが、比べものにならない大きさの事故になります。
3. 申請するなら、用途を具体的にする
「AIを使わせてください」だと通りにくいですが、**「アンケートの自由記述の分類に使いたい。氏名などの個人情報は含めず、記述の列だけを扱う」**のように用途とデータの範囲を具体的にすると、判断してもらいやすくなります。
禁止のルールができた時点では、こういう具体的な使い方が想定されていないことも多いです。使いたい業務が明確なら、一度聞いてみる価値はあります。
よくある質問
Q1. 無料のChatGPTでもできますか?
できます。この記事の手順は、実際にログインしていない状態のChatGPTで動作を確認しています(2026年9月時点)。
なお、ログインしていない状態ではファイルのアップロードが使えません。 スプレッドシートやCSVを丸ごと投げる方法は使えないので、この記事では回答をコピーして貼る方式にしています。この方式なら、ログインの有無にかかわらず同じ手順で動きます。
Q2. 回答が何百件もある場合はどうすればいいですか?
一度に貼れる文章の量には上限があるので、100件ずつなど分けて投げてください。そのうえで、最後に「これまでの分類をまとめて、件数を合計してください」と依頼すると1つの表になります。
Q3. AIの分類が間違っていたらどうしますか?
カテゴリ名をこちらから指定するのが確実です。「机・空調・椅子・会議室・その他の5つに分類してください」のように書くと、AIが勝手にカテゴリを作らなくなります。1回目でざっくり出させて、2回目でカテゴリを指定する流れが早いです。
Q4. Excelのアンケートでも同じことができますか?
できます。Googleフォームかどうかは関係なく、自由記述の列をコピーできれば同じ手順です。紙のアンケートの場合は、まず文字にする必要があります。
まとめ
自由記述の集計が終わらないのは、やり方が悪いからではありません。関数は文字を見ていて、意味を読んでいないからです。
意味を読む仕事は、AIに渡せます。渡したあとに人がやるのは、確認だけです。
最後にひとつ、考えてみてください。
あなたの職場で「読んで判断している作業」は、他に何がありますか?
問い合わせメールの仕分け、報告書に目を通して要点をまとめる作業、日報のチェック。読んで、意味を汲んで、分類する——この形の作業は、だいたい同じやり方で軽くできます。3つほど書き出してみると、どれから手をつけるかが見えてきます。
これは、今はまだAIが使えない職場の方にも意味があります。 「うちの会社でAIを使うなら、この作業から」という具体的な候補を持っておくことが、相談するときの材料になるからです。
次の一段:毎回やっているなら、集計ごと自動にできる
同じアンケートを毎月・毎期やっているなら、集計そのものを自動で回す形にもできます。フォームに回答が入った時点で分類まで済ませて、集計シートに追記されるところまで仕組みにしてしまう方法です。
そこまでやる価値があるかは頻度しだいです。年に1回なら、この記事の手作業で十分だと思います。